古物商許可証、交付される
滅多に鳴らない携帯電話が鳴ったので出てみると、警察署の生活安全課からだった。申請していた古物商の許可がおりたので印鑑と免許証を持ってくるようにとのことだった。ケチな私にとって割高な携帯電話を使うことは滅多にない。家族間のみ無料の電話をごくたまにかけるだけだ。それに比べ、こまごまとした支出まで制限がありそうな警察が割高な携帯電話を業務に使っていることがどうにも理解できなかった。もしかしたらソフトバンクの家族間無料みたいなシステムがあって、どんなに使っても警察は携帯料金がタダみたいな特約でもあるのだろうか。
40日間も待たされていたので、すぐにMTBで警察署の生活安全課に駆け付けつけた。相変わらず刑事課などがある二階はタバコ臭くて閉口してしまう。もし、あの狭い取調室で刑事にタバコを吸われ取り調べを受けたりしたら、タバコの煙が大嫌いな自分は、やってもいない殺人事件なんかを自供してしまうかもしれない、などと考えてしまったのだ。
生活安全課に入り、指示された椅子に腰かける。前回と同じ担当者が(おばちゃんではない、念のため)黙ったまま分厚い書類に目を通していた。ちらちらと見てみると、どうも私の事が書かれているらしかった。交番勤務の警察官が自宅に来て、ギャンブルが好きかとか、不動産の所有についてとか預金の額、借金の有り無しとかいろいろと聞かれたし 「前科等についてもキッチリと警察が調べますから」 と言っていた事などを思い出し、自分のことを警察はどんなふうに調べ記録に残したのか気になって仕方がなかった。まあ、頼んでみたところで、絶対に見せてくれないだろうけど。
ようやく渡された古物商許可証はがっかりするほど安っぽいビニール製の表紙でできていた。私の住所と生年月日が書かれているだけで、顔写真もついていないのだ。これでは誰かが私の代わりに使っても分からないだろう。ブルーのプラスチックのプレートを渡され、交付番号を自分で書いて見やすい所に掲示しておくようにと言われた。「これは警察署でしか売っていない古物台帳で、日常の取引をここに記録しておくように。1330円です」 古物台帳と書かれた厚手のノートを渡されたので、しかたなくお金を支払った。水戸黄門さまの葵の紋がついた印籠みたいな物だと勝手に思い描いていた私には、ひどく安っぽい許可証などにがっかりさせられてしまった。ともかく、目的通りに古物商許可証を取れたのだから、この許可証をどのように活用していくか、じっくりと考えていくことにしようと思い直し警察署を後にした。
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